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自分がやったことなどを備忘録的な感じで残していこうと思います。

白組 えとたまCGメイキングセミナー メモ

だいぶ時間経ってますが6月にCGメイキングセミナーに参加した時に取ったメモが出てきたのでネット上にバックアップの意味も込めてまとめます。セミナーでは画面キャプチャなど多用されていましたが、写真は撮れなかったので文字だけのまとめになります。かなり断片的な情報なので自分用メモの意味合いが強いです。悪しからず。

白組ゼミ『えとたまCGメイキングセミナー』

ヒューマンアカデミーという専門学校が主催でした。
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ha.athuman.com
これからアニメCG界を目指す人向けの構成で、アニメCG特有のモデル設計や制作ワークフローなどについて語られました。

アニメ えとたま公式サイト
etotama.com

内容

クオリティ管理

現場は複数人での制作になるのでいわゆる「作画崩壊」や、作り込みのバラつきなどを防ぐために、様々なルールが設けられていました。その内容は社内サイトなどで説明用の画像と共にまとめられていたようです。
以下一例です。(この記事を執筆するときに思い出しながら加筆した内容もあるので、誤りが含まれるかもしれません)

  • 表情付けのリファレンス

様々な表情のリファレンスを制作し、異なるアニメーターが制作してもきちんと同じような表情になるようにリファレンスを作成し共有されていました。

  • カメラの位置に応じて顔パーツの位置をずらす

日本のアニメ(漫画)特有の表現を実現するために口や目などの顔パーツの位置を、カメラの位置に応じてずらすそうです。

  • 逆側のサイドヘアーを増やす

上記のサブセットかも知れませんが、キャラクターが横顔を向いた時にカメラから見て奥側のサイドヘアー(もみあげ?)のボリュームを増やすというルールを設けていたそうです。

  • 目のハイライトの位置は外側に

アニメーターによってハイライトの入れ方が異なるのを防ぐために、外側にハイライトが入るようにルールを決められていました。

  • 耳を隠す
  • サイドヘアーは長時間外巻きにしない

キャラクターの顔の丸みを保持するために、サイドヘアーを長時間外巻き(外向き)にしないようにする、というルール。
赤い矢印のように内巻きにするという事だそうです。(画像は公式サイトから、矢印は僕がいれました)
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  • 斜め上からの俯瞰シーンでは顔を縦に潰す

これも同じく顔の丸み保持のため。斜め上からキャラクターを俯瞰すると、顔が横長に見えてしまうので、そういったシーンではわざと顔を縦長に潰していたそうです。

  • 下からのあおりシーンでは顎の輪郭線を残す

スペシャルフェイス

特殊なシーンの為にスペシャルフェイスと呼ばれる特別なオブジェクトをキャラクターのモデルとは別途で用意したそうです。

  • 目の下のクマや顔のシワ

表情豊かなえとたまではクマやシワはキャラクターモデルとは別にそれ用のオブジェクトを用意していたそうです。

  • ビンタされた時の口

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※画像はここから拝借。

  • 顔の陰、光り目(しいたけ目)、ハート目

画像は無くてもわかると思います。

  • 顔面パンチでめり込む表現

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画像参照元

モデリング・リギング

  • リギングしやすいようにモデルは基本的にトポロジー(構成)を揃える
  • バトルアニメなのでモデルは「ノーマル」「傷」「破れ」の3種類を用意
  • 誇張表現用のコントローラ多数

どんな機能を用いているのか(モデリングソフトの標準機能なのか、内製ツールなのか)までは語られていませんでしたが簡易的な2DのGUI(スライダー)で表情や顔パーツのトランスフォームを操作できるようになっていました。

  • コントローラ用オブジェクトを移動するとその移動値に応じてスケーリング

2DのGUI以外にも、キューブのような3次元のオブジェクトを移動させることで顔パーツのスケーリングが行えるようになっていました。

  • 髪の毛は3つのコントローラの位置に追従
  • 社内ツールを作成し、多数のコントローラを一括的に制御可能

ワークフロー

全てをメモ取りきれなかったので取れた範囲で。

  1. 絵コンテ
  2. VC(ビデオコンテ)
    1. カッティング
    2. アニメーション(背景無しでアニマティクス)
    3. 背景(フル3DCGのステージの制作及び破壊シーン)
    4. 手描きエフェクト(煙はシミュレーションを用いずに手描きを使用)
  3. コンポジット
    1. 素材の合成
    2. エフェクト(フレアやディスプレイスメントなど)

おわり

こんな感じで時間の限りでざっくりとですが、話されていた内容をまとめてみました。
アニメCGについては初めて聞く内容も多く、特に約2.5頭身のキャラに凝らされているアニメ特有の表現を実現するための工夫など、聞き応えがありました。
個人的には目指している方向とは違うのですが、いい勉強になって良かったです。